病院長の挨拶

このたび、2025年(令和7年)4月1日付けで坂出聖マルチン病院の院長を拝命いたしました村上敬祥(むらかみ たかよし)と申します。坂出聖マルチン病院はキリスト教の精神に基づき、愛と誠実をもって病者の治療、看護・介護を行い、医療と地域社会の福祉に寄与する目的で、聖ドミニコ宣教修道女会によって終戦間もない昭和24年に開設されました。以来、やさしさを重視した「心」の医療をもって坂出市を中心に、皆様の健康を守ってまいりました。私は2002年から2014年までの12年間、この坂出聖マルチン病院外科で勤務させていただき、多くの貴重な臨床経験を積むことができました。今回ご縁をいただき、11年ぶりに再び当院で勤務させていただけることになり、ご恩返しのつもりで決意を新たにしているところです。11年前に比べますと、病院の建物は全て建て替えられ介護棟が増築されるなどリニューアルされ、裏手の笠山以外に当時の面影を残すものはなく、機能的にも緩和病棟や神経難病センターの新設など内外面ともに大きな変化を遂げました。新しく生まれ変わった坂出聖マルチン病院も昨年末で創立75周年という節目の年を迎えました。しかしながら、地域における病院の使命は75年前といささかも変わることなく、地域の人々の必要に応えながら安心・安全でよりよい医療を提供し続けることのできる病院でなくてはなりません。この地域に根差した伝統ある病院において、院長という重責を担いますことに身の引き締まる思いが致します。
昨今の医療・介護を取り巻く情勢は年々厳しさを増しています。構造的な少子化と超高齢化社会にともなう医療従事者不足と医療ニーズの急増に、一連のいわゆるコロナ禍が拍車をかけた形となり、医療費抑制や物価の高騰、さらに医師の偏在や地域間格差などの問題も絡んで健全な医療・介護の提供が困難になりつつあります。これらに立ち向かい地域医療を守るためには、病院全体が一致団結してその機能や特性、専門性を活かしながら成長し続けることはもちろん、他の医療機関や行政、大学などの教育機関との連携は欠かせません。患者さんや医療スタッフを大切にしながら、地域医療の一翼を担うことに全力を注いでいく所存です。旧約聖書の、天地創造について語られた「創世記」の冒頭には、はじめに神は天(宇宙)と地(地球)を創られた後、「光あれ」と言われて光を創られ、光と闇を分けそれぞれ昼と夜にされたと、と述べられています。「光」ということばには、希望、正義、慈悲など思想や宗教によって様々な解釈があると思いますが、この混沌、混迷を深める世の中にあって聖マルチン病院は地域の皆様に「光」を届ける病院でありたいと考えております。
末筆となりましたが、坂出聖マルチン病院を今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2025年4月1日